Aloha
ヒロを訪れてたので、溶岩のお話をしましょう。
ハワイ島で外せないのは、「活火山」があるということでしょう。
ハワイ諸島は、同じ火口から、長い年月をかけて地形を作り、ずれていき、を繰り返しておおよそ八つの諸島から成り立ちます。現在の火口があるハワイ島は、現在もなお噴火を続け、溶岩が流れ領土を広げています。自然崇拝のハワイ文化では火山には女神「ペレ」が住んでいると言われ、私たちフラダンサーは、多くの「メレペレ」(ペレに纏わる詠唱)を学び、踊り、捧げています。火山の女神であるペレは、「破壊」の神であり、「再生」の神であると両方の意味を持っています。破壊は、溶岩で木々、植物、家々を焼き尽くしていきます。再生は、その溶岩が海へと流れて海水で冷え、領土を広げます。
「ペレ信仰」ともいうべきハワイアンの思想ですが、彼らは溶岩が噴火し、流れ出しても嘆き悲しむこともなく怒りもなく、ただただ、それを静かに見守ってきました。
ヒロ地区の人達の言葉で「私たちはペレの土地に住まわせて貰っている。彼女が進む道に私たちは、何かすることはない。」と火山の被害を受け入れて(?)います。
溶岩の後に、宿を建てて、わざわざ世界中からその宿に泊まりに来ています。溶岩の上で寝るとか最高の経験ではないでしょうか。
私も、数年前、夜、暗闇の冷えた溶岩の中を片道8マイルを自転車で漕ぎ、溶岩の吹き出す海岸を目指したことがあります。冷えた溶岩は、滑りやすくガラス質になることもあり、道中そこらじゅうで、転倒し血だらけになっている人たちを見ながら、「絶対に転ばないぞ!」とある種の気迫で乗り切りました。ゴールの海岸には、この世のものとは思えない素晴らしい光景が広がっていました。そこは、あたり一面、冷えた溶岩で出来た海岸線です。この暗闇の中、真っ赤な溶岩が海岸に吹き出し、打ち寄せる波の海水があっという間に冷やし、赤から黒へ。絶え間なく続いています。
多くの神話の中で、「ペレ」には、兄弟姉妹がおり、姉の海の女神とは「犬猿の仲」という設定です。お姉さんの彼氏をペレが横取りしたという・・・。そこで、お姉さんとペレは今でも、ペレが溶岩を吹き出し、お姉さんが海水で応戦するといった光景がみられるそうです。そのお話が、まさに目の前で行われているのです。おおー。
そうこうすると、普段、自転車に乗らない私がこの距離を走ってきたことで疲れが出て、冷えた溶岩の上で横たわると、真上には一面の星空が!!!
自転車漕いでた暗闇は、転ばないように、下しか見てこなかったから、こんなに星空があるとは。これぞ、まさに「満天の星」。
地球の営み、宇宙を身体というか、魂が震えた経験でした。これは、文字では表せない、自分の五感で地球、宇宙の関係を理解した瞬間でした。
波の音、溶岩の吠える音、ざらざらの溶岩を背中に感じ、目の前の星のきらめき。
ハワイ島のフラは、地球のエネルギー、宇宙の話がよく出てきます。最初は、チンプンカンプンで、「踊りと何が関係しているのか」と若く未熟な私は疑問を抱いていました。
長年の経験と知識で、ああ、こういうことなのか。やっとスンナリ魂に入ってきました。
「フラは人生」という言葉がありますが、多くの経験がフラの学びに役立つことがあります。そして、フラには「無駄な経験はありません。」人生すべての行いが、「フラ」になるわけです。このお話は、フラを「踊り」だと思っているうちは、なかなか入ってこないお話だと思います。フラを学ばれる方の多くが「フラは人生」という言葉の意味を体感出来たらいいな。と願っています。
地学的な学びもフラの学びに役に立ちます。ハワイ島の活火山で噴出する溶岩は、玄武岩質溶岩です。粘性が低いため爆発を伴うことは少なく、川のように流れます。ハワイの人たちから、この流れを眺めに行っていたと聞きました。そこで、「ウリウリ」(ココナッツの楽器)を使うと、溶岩流がぴょんぴょん跳ね、まるでペレが起きた。と解釈しての曲目があります。ヒロ地区の人たちは、「ウリウリ」を、「ペレを起こす楽器」という事もあるそうです。
溶岩には、たくさんの名前がついていますが、ハワイ語である「パホエホエ」と「アア」は、世界共通の学術語になっています。
パホエホエ溶岩:粘性が低く滑らかな溶岩。溶岩は温度差や圧力差、流れが滞ると表面から冷え固まり、表面は様々な形状になります。地下空間では鍾乳石のように天井から垂れ下がることもあります。
アア溶岩:ガサガサとした形状の溶岩を指します。パホエホエより温度が低く粘性が高い場合に出来ます。
「メレペレ」(ペレの詠唱)に、「ア!ア!」という踊りを若いころに習ったのを思い出しました。ああ、あの状態のことの踊りなんだな。すると表現の仕方も「ガサガサ」した感じを出すべきだな。と踊りの表現力が豊かになりますね。地学なんか、フラに関係なさそうですが、フラに無駄な学びはないのですねえ。